【TJAR】5日目

5日目20:00は市野瀬の関門時間となる。すでにリタイヤした田中、飯島、岩瀬を抜き、継続しているのは間瀬、高橋、岩崎の3名だ。しかし市野瀬にはまだ岩崎のみ到着していない。市野瀬は空木岳を下り駒ヶ根スキー場に出て、そこから舗装路（峠道）を24.5km行かなければならないが、足にダメージがあるため、どんなに早くても5時間はかかる。よって駒ヶ根スキー場には15:00には着いていないといけない。しかも岩崎のペースから考えると13:00には通過していないと制限時間にかかってしまう。
時間が刻一刻と迫る。15:00を過ぎ、16:00を過ぎ･･･岩崎が駒ヶ根スキー場に姿を現したのは22:00であった。

4日間22時間。駒ヶ根スキー場。岩崎勉、タイムオーバーでリタイヤ。

「足のマメが悪化して、昨日の午後から急に走れなくなったんです。実は今までマメで走れなくなるなんて、想像もつかなかった。マメはできた事はあるんですが、走れなくなる程痛くなることはなかった」と岩崎。しかし彼はこのレースで実に深く大きい事を学んだと言う。
「途中で一般登山者から多くの応援をもらいました。ある山小屋に行った時なんて、そこのおじさんが他の山小屋のおじさんに『こんなレースをしている人がいくから、よくしてやってくれ』と連絡をしてくれて、そこに行くとおにぎりを用意していてくれたんです。嬉しかった。いっぱい色んな人たちに出会いました。応援をしてくれた人たちに感謝しています」
トランスジャパン・アルプスレースは、ただのタイム競技ではない。究極の世界での、自分への挑戦、自分の発見、出会い、そして感謝でもあるのだ。