【TJAR】間瀬、目標達成ならず

とうとうレース7日目0時間00分を回った。間瀬には海は見えていなかった。ひたすら続く峠道の舗装路を気力だけで進んでいた。そして朝を迎えた。峠道を終え、安倍川（県道27号線）に出たところで座り込んでアイシングをする。「もう足が動かないんです・・・どうしよう・・・」。
しばらくアイシングをし、また立ち上がり、歩き出す。彼女が止まる度、家族も立ち止まり、励ます。一晩中、その繰り返しだった。

7日間6時間15分、畑薙ダムより約75キロ地点にあるコンビニに到着。南アルプスを下山して初めてのコンビニだ。間瀬を先回りして待っていた私たちに向かって、突然間瀬が勢いよく駆けより、「娘が何かでカブレてしまったんです。薬持ってませんか？」と聞いてきた。持っていた薬を渡し、彼女は娘の方に向かっていく。
自分の足は、熱を持ち、パンパンにむくれ、すでに限界を超えているはずの間瀬。だが娘のカブレを心配する時は、レーサーではなく、母の顔になっていた。
（写真：アイシングをする間瀬の足）