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【Costa Rica Adventure Race】レースを終えて

【Costa Rica Adventure Race】レースを終えて

南米コスタリカ。この国の東西南北850㎞を10日間で走破するARWC(アドベンチャーレース世界選手権)に26カ国より60チームが挑戦しました。アジアからはイーストウインドだけが参戦。常勝チームも続々と棄権するという波乱な展開でした。

イーストウインドはトップ10入りを目前にし、あと残り7㎞というところで、中村雅美が転倒して左ほお骨を骨折。残念ながらここでリタイヤを決意しました(現在、中村はコスタリカの病院に入院中ですが、回復に向かっています)。

結果は残念でしたが、各自課題が見つかり、それをクリアすることで次の大会に向かって精進していきます。

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田中 正人

「ARWC2013コスタリカ大会では、リタイヤという残念な結果に終わったことをお詫び申し上げます。序盤にレースの流れに乗れず最下位からのスタートとなりましたが、徐々に本来のレース展開に戻すことができ、10位くらいまで挽回することができました。

レース終盤ではやっと一桁順位に届くかもしれないという追い込み時に、中村雅美が限界を超える頑張りを見せたのですが、極限に達してしまい自己コントロールを失ってマウンテンバイクにて転倒し、顔面を岩に打ち付けて頬骨骨折、脳に強い衝撃を与えてしまい、救急搬送される結果となりました。現在も現地病院の集中治療室にて脳の検査を続けている状態です。記憶が一部欠落しているようですが、意識ははっきりしております。多くの方々にご心配をお掛けして申し訳ありません。

今回のレースのポイントは、中村雅美にすべてが掛かっていたという感じでした。彼女は今年6月からチームに合流し、トレーニングを積んできました。ランニングでは好成績を収める実力を持っていますが、パドリング、マウンテンバイク、不整地走行などは苦手で、世界で戦うアドベンチャーレーサーとしては、初心者レベルと言わざるを得ません。その現状での挑戦となった訳ですが、彼女は本当に良く頑張ったと思います。七転八倒しながらも挫けることなく実践にて技術を向上し続け、とうとう10位くらいに順位を上げてきたのです。それに伴って我々男性メンバーも彼女に一人前のレーサーとしての資質を問うようになってきました。レースに対する意識レベルの向上や戦い方というものを叩き込むような感じだったと思います。

レース終盤に10位前後チームの集団からいち早く抜け出した我々は、順位がほぼ確定する最後のトランジッションエリアに駆け込むために力走している最中に事故は起きました。それまでにも彼女はマウンテンバイクで何度も転倒を繰り返しながら走行している中で、軽い脳震盪も起こしていたようです。「何で今自分がここに居るか分からない」などの発言があり、チームとしても注意をしていました。最後の追い込みでは、中村のダウンヒル走行の状態を見た田中正人が危険性を察知し、中村にスピードを落とすように指示を出している最中でした。中村も、チームが一桁順位に届く重要な場面であることを理解し、極力スピードを落とさないようにギリギリの走行をしていましたが、結果的には限界を超えてしまい事故に至りました。

一番悔しがっているのは中村だと思います。初めからチームの足を引っ張る存在という思いがあり、できるだけチームの迷惑にならないように頑張って来たのに、チームをリタイヤさせることになった。あれだけボロボロに傷だらけになりながら頑張って来たのに、10日間800㎞近く闘ってきたのに、あとたった7㎞で順位が決する場面で致命的な事故を起こしてしまった。転倒直後の「もうこんなのいやだ!!」という中村の一言は、心の叫びだったと思います。中村にとっては本当に壮絶な闘いでした。これで一桁順位を獲得してハッピーエンドに終えるのが理想かもしれませんが、まだまだ実力も足りなく、意識レベルも低い中村にとっては、これ以上ない悔しい結末のほうが将来的な糧になるのかもしれません。現在の彼女は一部記憶がなくなっていますが、記憶が戻ってレース展開が思い出せるようになったときに、また彼女の闘いが始まるのだと思います。今はゆっくり治療に専念してもらいたいです。

我々としては本当に素晴らしい戦いが出来たと思っています。コスタリカのコースはとてつもなくエキサイティングで素晴らしいものでした。語り尽くせない思いがあります。またもや素晴らしい体験をさせていただいた応援者の方々に心から感謝申し上げます。チームイーストウインドは、これからも世界の頂点を目指して邁進し続けます。ありがとうございました。」

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田中 陽希

「アドベンチャーレースをはじめて7年、初めてメンバーがリタイヤしての完走となりました。850キロ10日間のレースのゴールが目前に迫った820キロ地点でメンバーのアクシデントによりゴールは遠いものとなりました。改めて830キロの道のりを4人全員で乗り越えることの難しさを痛感することになりました。3人でのゴールはそれまでの壮絶な戦いを忘れてしまったかのようにポッかりと穴が開いてしまった感覚にとらわれました。世界最高峰でのレースで自分達の力を存分に発揮するためには、チームの総合力とどんなことにも屈しない信念で勝敗が決まることを見せつけられる結果となりました。メンバー一人一人が最低限のスキルを有し、かつ経験や精神力がともなっていなければ、強豪と、肩を並べることは難しい。今回のレースでもチーム内でサポートをしてチームの底上げをはかってきましたが、これには限界がありました。やはり、チーム内でのサポートは少ない方がいい、サポートをしたとしても、する方、される方の双方に体力やスキル等に差が低い必要性が高まりました。差が大きくなると、双方にかかる負担が大きくなってしまう、今後はチームの総合力をあげていくことが強く求められます。

多くの方々からの惜しみ無い応援にこたえることができませんでしたが、次回への糧として今後も応援よろしくお願いします!ありがとうございました」

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山北 道智

「暖かい応援、ありがとうございました。皆様のお陰で、コスタリカで開催されたアドベンチーレースの世界選手権を終えることができました。レース序盤の立ち上がりは、もたついていたものの、2日目、3日目と日を重ねるごとに自分たちのペースを取り戻し、徐々に順位を上げて行くことができました。また、先住民が昔ながらの生活を続ける村を通ったり、マングローブの生い茂る海岸から4000メートル近い高所まで、幅広い自然環境の中4人でレースを続けることができたのは貴重な経験です。文明が発達し、整備の行き届いた日本で生きていては全く見えない生活が、世界中で営まれていることを実感しました。

今回は丸9日間で850kmを消化し、最後の7kmを残して事故のためリタイヤを決断しましたが、この現実を受け入れ、反省を踏まえて次の結果につなげることが、責任であると思っています。

最後になりますがレース中に3ヶ月を迎えた息子、家庭を守っていてくれていた妻に感謝したいと思います。彼らの支えなしに出場は叶えられませんでした」

 

イーストウインド・コスタリカレース報告会を1月5日に開催します。
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