前回大会では、チームメンバーが心配するほどスタート直前まで悶々としていた。トップチームの戦い方というものは分かりかけていた。シンプルな思考で直進し続けるベクトルを保ち続けること。4人が結束して最悪な状況でこそブレない強固な1本のベクトルを作ること。一挙手一投足が問われることも分かっていた。それがどう実践できるのかまったく戦略が立てられないでいた。具体的にどう行動していけばいいのか??悶々としていた。
結局スタート地点で、言い争いの多いヨーキと「仲良くやろうぜ!」と手を握り合うことが精一杯だった。レースが始まると重圧のような心配事は無用だったということが分かってきた。メンバー一人一人がチームのために自分の役割を全うしていた。一人一人の細かな言動がチームを良い方向へ導いていった。メンバーを信頼することが重要で、メンバーはどんなに心強い存在であることが分かった。そのチームワークで一時トップにも躍り出ることができた。
今回はイメージが出来ている。どう闘うべきかも分かっているつもりだ。ただそれを実践する勇気を奮い起こすだけだ。本当にシビアな闘いになる。4連覇しているイギリスチームとの実力差も把握できている。どこまで追い込まなければならないか、どんなにキツイ自然環境で行軍しなければならないかも分かっている。総距離700㎞、10日間に及ぶレースのスタート直後から潰れる覚悟のペースを維持しなければならないこと。冷水の渡渉を何度も夜間でも行ない、気持ちが少しでも弱くなったら低体温症に陥ってしまうこと。夜間ナビゲーションミスしたときの焦りと絶望感に前向きに立ち向かい克服しなければならないこと。濃い藪に阻まれたときに、気持ちが揺るがない前進力を作り出さなければならないこと。メンバーに対する苛立ち、諦め...、すべてを前向きに捉え、チームを鼓舞する言動を無理にでも行なうこと。
すべてイメージ出来ているだけに覚悟が必要になる。
あとはメンバーを信じてやるのみ!!お互いに認め合い、信頼し合い、刺激し合い、助け合う。どんな結果になろうと自分たちで良いレースが出来たと心底思えるように全力で追い込んでいきたい。心は一つ!勝利あるのみ!!
チームイーストウインド・キャプテン 田中正人