New HALEの芥田さんによるテーピング講習を受けた後、メンバー全員でトレーニング開始。今回は135kmのロングトレッキング。目的は「長く歩くことによるフットダメージを把握する」こと。自分だけではなく、互いのダメージを把握しておくことで、本番のフォロー対策にもなります。
今回は時間を有効に使うため、全て徒歩で尾瀬・燧ケ岳往復の135kmの行程である。尾瀬登山に人気の鳩待峠までの往復100kmは舗装路で、尾瀬に入っても大部分は木道であるが、こうした地味に動き続ける体力と技術はアドベンチャーレースに取り組むために欠かせないので、良いトレーニングになったと思う。また、今回は足を濡らし続けた状態で歩き、どのようになるか試すという要素もあった。
結果的には初日10時半スタート、藤原湖、洞元湖を過ぎて鳩待峠についたのが午後8時。雨が降っており寒く、尾瀬ヶ原へ降りると、尾瀬の持つ明るいイメージとは反対の、悲壮感漂う寂しい風景が広がっていた。私は寒さにめっぽう弱く、加えて前日は仕事と出発前の準備でよく眠れていなかったため心が折れそうであった。木道を走って尾瀬ヶ原を横断し、燧ケ岳への上りが通行止めとなっていたので尾瀬沼脇の登山道から上ろうと5km先の尾瀬沼を目指すが、標高が上がるにつれ風雨が激しく、エスケープも不可能なルートであったため尾瀬沼の脇で引き返し、見晴で午前1時過ぎから3時間ほどビバーク。眠気はあったが寒くて何度も起きた。
翌日は来た道を戻るだけであるが、明るくなっただけ気分も楽だった。たった一泊二日であっても、30時間近く行動していればマメができたり、厳しい気象条件があったり普段気付かないものが見えてくる。1週間続くブラジルでの本番を前にして、いいトレーニングができた。
― 山北 道智
「とにかく動き続ける」これが今回のトレーニングで重きを置いた点だった。水上周辺にある谷川馬蹄形の縦走などのアイデアもあったが、標高差を稼いで筋肉に負荷をかけるというよりは、長時間動き続けるとどういった障害が起こり得るのかといったことを確認するため、水平方向に距離を伸ばすことを選択した。コースは山北の所感にある通り、水上~尾瀬を往復するというもの。
今回のトレーニングでは前述のとおり「障害」を体験することが1つの目的であるため、靴の上から水をかけ、びしょ濡れ状態にする。歩いていくうちに乾きだすと、水を探してまたびしょ濡れ状態にする。これを繰り返した。
普段、足が乾燥した状態ではどんなに長い距離を走っても足裏にマメができることは稀なのだが、後半に入るとふやけた足裏のシワを起点に大きな水疱を作ってしまった。トラブルを抱えたままのレースは、チームのペースを乱してしまうことだけではなく、感染症などの危険性も高まるので最大限の対策を講じなければならない。行動食も本番を想定して、ペットボトルに柿の種やグラノーラ、ナッツ等を仕込んで可能な限り全部摂取するように心がけた。
問題として浮かびあがったのは、甘い味の行動食は簡単に飽きてしまうこと。これは行動し続ける事によって内臓の動きが平時よりも悪くなっていることにも関係していそうだ。意図した目的が上手く達成できないことも良くある中で、今回のトレーニングは意図どおりの結果が生まれる良いトレーニングだったと思う。
― 高濱 康弘
スタート前から靴を水で濡らして、水場を見つけては濡らしながら行動し、50km過ぎたくらいで足の裏のマメがつぶれ、痛みを感た。ランニング用シューズではなかったから、靴ひもがしっかり縛れてなかったから、などいろいろ考えたが、もっと走り込みが必要であり、そして実際のレースで足裏対策の重要性を体感した。
約135km、30時間。チームメンバーと行動して、離れては歩いて待ってもらい、走って追い付きの繰り返しで、体力の差を感じ、迷惑をかけてしまっていることが悔しかった。私の気持ちが折れそうな時に、メンバーが面白い話をしてくれた。私自身も、もっとメンバーの為に出来ることを考えて行動しなければいけないと思った。メンタルも体力ももっと強くなりたいと思った。
― 西井 万智子
今回はわざと足にダメージを与えるトレーニングを行った。特に高濱と西井がどうなるかを知りたかった。狙い通り、水疱ができた。これをレース前に経験しておくことは、非常に大切。これに対して充分な対策を講じて本番に臨みたい。
チームの雰囲気はとても良い。互いに気遣いがあった。本番はもっと余裕がなくなるが、できる限り良い雰囲気を維持していきた。
― 田中 正人
レースは参加費や渡航費だけではなく、大自然の中で生命を支える高性能ギア、食料一式、そして何より飛行機に乗る際の荷物の超過料金など、多額の準備金が必要なため、金銭面は不充分な状況です。世界に挑み続けるチームイーストウインドへの資金援助をどうぞよろしくお願い申し上げます。
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